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名古屋地方裁判所 昭和47年(行ウ)6号 判決 1976年1月26日

愛知県一宮市萩原町串作一、六四七番地

原告

小寺史郎

右訴訟代理人弁護士

石川康之

成瀬欽哉

同市明治通二の四

被告

一宮税務署長

伊藤新吉

右指定代理人

遠藤きみ

北島詔三

吉沢専一

鈴木孝

田中博道

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

(原告)

被告が原告に対し昭和四五年一月二六日付でなした昭和四二年分および同四三年分の各所得税更正処分ならびに各過少申告加算税賦課決定処分(但し、昭和四五年五月二〇日付異議決定で一部取消後の分)をいずれも取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

主文同旨。

第二当事者の主張

(請求の原因)

一  原告は被告に対し、昭和四二年分の所得税につき同四三年三月一五日に、また同四三年分のそれにつき同四四年三月一一日にそれぞれ別表(一)(課税処分表)の確定申告額欄記載のとおり申告したところ、被告は、同四五年一月二六日付で右別表の更正額または賦課決定額欄記載のとおり、各更正処分および各過少申告加算税賦課決定処分(以下、本件課税処分という)をなした。

二  そこで原告は被告に対し異議申立をしたところ、被告は昭和四五年五月二〇日付で別表(二)(異議決定等明細表)のとおりいずれも原処分の一部を取消す旨の決定をなしたので、さらに原告は訴外国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、同所長は昭和四六年一二月二七日付で棄却の裁決をなした。

三  しかしながら、本件課税処分はいずれも適法手続にもとづかず、また理由のない推計課税によるものであるから違法である。

よって、原告は被告に対し本件課税処分(但し、昭和四五年五月二〇日付異議決定で一部取消後の分)の取消を求める。

(請求原因に対する被告の認否)

請求原因第一、二項の事実はすべて認め、同第三項は争う。

(被告の主張)

一  原告は、係争各年当時、一宮市萩原町串作一、六四七番地において、小寺電器店なる商号で家庭用電気器具製品(主としてナショナル製品)の小売業を営んでいた。

二  推計課税の許容性について

被告は、原告の所得税確定申告につき昭和四四年七月下旬頃から係員をして実地調査を行なわせたところ、係員が再三再四営業取引に関する伝票帳簿その他の書類の提示を求めかつ係争各年当時の営業概況について説明を求めても、原告はこれに全く応じなかったので、実額の調査ができなかった。

そこで、被告は、やむを得ず、被告において判明した原告の取引先等について調査を行ない取引額等の実額確認に努めるとともに確認不可能なものについては資料等から推計して係争各年分の事業所得金額を算定したものである。

三  営業所得金額の算定について

被告は、前記のとおり原告の取引先等を調査して係争各年分の仕入金額等を把握し、右金額に、後述の方法で選定した原告の事業と類似すると認められる同業者の各係争年毎の平均売上原価対算出所得率を乗じて各係争年分毎の算出所得金額を算定し、後記特別経費を控除して、本件係争年分の営業所得金額を算定したもので別表(三)(営業所得金額明細表)のとおりである。すなわち、

1  売上原価

昭和四二年分 一二、六八五、〇四六円

昭和四三年分 一一、六一六、一九四円

被告において判明した原告の仕入先を調査した結果、各係争年分の仕入金額は別表(四)(仕入金額明細表)のとおりであった。

そこで、被告は、各係争年における期首、期末のたな卸商品については変動がなかったものと推定して、右仕入金額の合計額をもって各係争年分の売上原価とした。

2  算出所得率および算出所得金額

昭和四二年分算出所得率 一一・四九%

算出所得金額 一、四五七、五一一円

昭和四三年分算出所得率 一一・六八%

算出所得金額 一、三五六、七七一円

別表(五)の一(昭和四二年分選定経過表)および同(五)の二(昭和四三年分同表)のとおり、被告は、一宮税務署管内において原告と同業の家庭用電気器具製品小売業を営む個人の昭和四二年分および同四三年分所得税青色申告者のうちから、原告と同様にナショナル製品を主として販売している者を抽出し、さらにそのうちから現金主義で記録している者、年の途中で開業もしくは廃業した者、他の営業と兼業している者および営業規模が大(売上原価が二、〇〇〇万円以上の者)と認められる者を除外して、原告の営業形態と類似すると認められる者を昭和四二年分につき九名、同四三年分につき一〇名をそれぞれ選定し、該選定にかかる者の各年毎の青色申告決算書から得た該選定者毎の売上原価および算出所得金額をもとにして、別表(六)の一(昭和四二年分算出所得率計算表)および同(六)の二(昭和四三年分同表)のとおり、各係争年毎の平均算出所得率を求め、これを原告の各年分の算出所得率とみなした。

なお、右の計算に当り、特別経費を控除する前の算出所得金額により算出所得率を計算したのは、特別経費はその性質上各業者により相当差異があるため、特殊事情として、別途控除したほうが合理的だからである。

また、一般経費として計上される建物以外の減価償却費については、原告が減価償却方法の選定届出をしていないため定額法によることになるので、基準となる各同業者のうち減価償却方法を定額法以外の方法で行なっている者についてはすべて定額法により減価償却費を計算し直して、右各同業者の一般経費および算出所得率を算定した。

3  特別経費

(一) 店舗賃借料

昭和四二年同四三年分各六七、二〇〇円

各係争年分において原告が訴外岩田竹一に対して支払った賃料九六、〇〇〇円から原告の住居部分の家賃と認められる二八、八〇〇円を差引いた六七、二〇〇円を計上した。

(二) 建物減価償却費

昭和四二年、同四三年分各五、五八〇円

原告が昭和四一年分所得税調査の際提示した収支計算書に記載されていた建物減価償却費五、五八〇円を計上した。

4  専従者控除額

昭和四二年、同四三年分各一五〇、〇〇〇円

四  以上によれば、原告の各係争年における営業所得金額は、前記別表(三)(営業所得金額明細表のとおり

昭和四二年分 一、二三四、七三一円

昭和四三年分 一、一三三、九九一円

であり、所得控除額は別表(一)および(二)の当該欄記載のとおりであるから、これを各差引いた金額の範囲内でなされた本件課税処分には何らの違法はない。

(被告の主張に対する原告の認否等)

一  被告の主張一の事実は認める。

二  同二の事実は否認する。

三  同三の1.3.4.の各事実は認めるが、2.の平均算出所得率を求めた経過は不知。

右平均算出所得率を原告の所得率とみることの合理性については争う。すなわち、原告は、昭和三九年一二月に開業したばかりで事業基盤が固まっておらず、場所的条件にも恵まれないうえ、店舗も狭く、他店に比較してきわめて不利な状況に置かれていたため、セールス販売に頼らざるを得ず、廉価販売による顧客開拓を必要としていた。また、仕入先への支払もとどこおり、マージンを得るどころか逆利息を差引かれる状況であった。

従って、売買差益率を求めるに当っては、右のような営業の実態を斟酌すべきこと当然であり、被告算出のように、各営業主の平均算出所得率を即原告のそれとみなすことは、原告の営業実態を全く無視した不合理な推計というべきである。

四  同四の事実のうち、所得控除額が被告主張のとおりであることは認めるが、その余は否認する。

(原告の主張)

調査手続の違法性について

更正処分は、国税通則法二四条の規定するように、納税申告書に記載された課税標準または税額等が税務署長の調査したところと異なる場合に、その調査したところにもとづいてなされるものであるが、右の調査は、納税者の権利ないし利益を保護する手続としての意味を有するから更正処分の前提条件であり、従って、調査が違法であればそれにもとづく更正処分もまた違法になると解すべきである。かく解してはじめて、納税者に対し憲法三一条の適正手続保障の趣旨に添った実質的な救済が与えられることになる。

そして、申告納税制度のもとにおいては、納付すべき税額は納税者の申告によって確定するのが原則であり、しかも調査をなすことが納税者に事実上重大な不利益を与えることは明らかであるから、調査権の行使が許されるのは、当該申告書の記載の適正でないことにつき合理的疑いの存するときに限られるべきである。また、税務調査が国税犯則取締法にもとづく強制捜査と本質的に異なる以上、調査対象者において適切に応答できるよう調査理由を具体的に明示してなすべきであり、さらに、調査深度の問題にしても、任意提出にかかる帳簿書類等を検査することができるのみで、納税者の営業活動を停滞させたり、得意先や取引銀行等に対する信用を失墜せしめるような態様においてなすことは許されず、特に、いわゆる反面調査は、納税者の信用を毀損するばかりでなく、調査の対象とされた第三者の営業活動にも重大な支障をきたすから、納税者に対する直接調査だけでは目的を達することのできない事項に限りなされるべきである。

本件において、被告は原告提出にかかる各係争年分の所得税確定申告書が適正であることにつき何ら合理的な疑いが存せず、また原告が被告の直接調査に協力する旨申入れたにもかかわらず、調査の理由を明示することなく、一方的に反面調査を実施し、もって原告の信用を毀損したものであるから、本件課税処分は違法というべきである。

(原告の主張に対する被告の反論)

所得税法はいわゆる申告納税方式を採用し、納税義務者が納付すべき税額はその者の申告により確定することを原則とするが、最終的な税額の確定は税務署長に留保され、その更正のないことを条件として当該申告が承認されるに過ぎないものである。そして、税務署長は納税義務者がその義務を正しく履行したか否かを常に調査する職責を有し、申告税額が自己の調査したところと異なる場合には、申告納税額に拘束されることなく国税通則法二四条にもとずき、これを是正しうるのである。

ところで、同条に定める調査は各税法に定める課税要件事実の充足を認識し租税債務額を確認するためのあらゆる行為を総称し、更正処分に先行するが、だからといって、法律上当然に更正処分の手続的な適法要件とされるものではなく、法がその履践を更正処分の要件として要求する場合に限って、手続的な適法要件となる。しかるに、国税通則法はもとより現行税法上その旨定めた規定は見当らないから、国税通則法二四条にもとづく調査は更正処分の手続的な適法要件ではないというべきである。

また、いかなる場合にいかなる調査をなすかについては、同法条その他の法律によるも何らその手続が定められていないから、調査の範囲、程度および手段等については、すべて税務署長等の権限ある税務職員の合理的裁量に委ねられていると解すべきである。従って、税務署長において、過少申告なることを疑うに足りる事情の有無を問わず調査することも何ら妨げられるものではなく、調査の際調査理由を明示すべき義務もなく、またいわゆる反面調査の方法を採ることも妨げられるものではない。

以上の次第であるから、本件課税処分は適法というべきである。

第三証拠

(原告)

原告本人尋問の結果を援用し、乙一、二号証の成立を不知とし、乙三、四号証の成立を認めた。

(被告)

乙一ないし四号証を提出し、証人上野八代、同中山実好の各証言を援用した。

理由

一  請求の原因一、二記載の事実(本件課税処分の経緯、内容等)については、当事者間に争いがない。

二  原告は、被告のなした本件調査手続が違法であり、この違法な調査にもとづく本件課税処分もまた違法であると主張するので、先ずこの点について判断する。

所得税法はいわゆる申告納税方式を採用し、納税義務者が納付すべき税額はその者の申告により確定することを原則とするが、最終的な税額の確定は税務署長に留保され、その更正のないことを条件として当該申告が承認されるにすぎないものである。そして、税務署長は納税の適正を期するため、常に納税義務者がその義務を正しく履行したか否かを調査する職責を有し、申告税額が自己の調査をしたところと異なる場合には、申告納税額に拘束されることなく、国税通則法二四条にもとづきこれを更正しうるのであり、しかも、税務署長がいかなる場合にいかなる調査をなすべきかは法律に特に定めるところがないのである。従って、税務署長は過少申告なることを疑うに足りる事情の存する申告について調査しうるのは勿論であるが、かかる疑いの存しない申告について調査することも何ら妨げられるものではなく、該調査の結果万一過少申告なることを発見した場合には、申告税額を更正しなければならないのである。

また、国税通則法二四条、二六条、二七条等の規定によるも右調査については何らその手続が定められていないから、調査の範囲、程度および手段等については、すべて税務署長等の権限ある税務職員の合理的裁量に委ねられていると解すべきである。従って右調査が実質的に不十分であったとしても、かかる事由は更正処分の違法事由とはならないものと解される。仮りに調査が不十分であったため、更正された所得金額ないし税額が不当であった場合には、これを理由として更正処分の取消を求めれば足りるのである。

もっとも、更正処分をなすにあたり、税務署長において全く調査をなすことを怠った場合には、該更正はこれをなしうべき前提要件を欠くことになるので、違法性を帯びるものと解すべきであり、また、質問検査権の行使が社会通念上相当と認められる限度を超えて濫用に亘った場合など調査手続に重大な違法があり、しかもその調査のみにもとづいて更正がなされたような場合には、該更正は調査せずしてなされたものと同視すべきであり、違法として取消されうるものと解すべきである。

本件において、原告は調査手続の違法を主張するけれども、右に述べたように、税務署長は過少申告なることを疑うに足りる事情の有無を問わず調査することも何ら妨げられるものではなく、調査の際具体的調査理由を明示すべき義務もなく、また調査深度の問題にしてもその裁量に委ねられており、いわゆる反面調査の方法を採ることも妨げられるものではない。従ってこの点についての原告の主張は失当であり採用することができない。

そして、証人上野八代の証言および原告本人尋問の結果の一部によれば、原告の提出した昭和四二年同四三年分の各所得税確定申告書には所得金額の記載のみで収入、必要経費等の記載がなされておらず、収支明細書の添付もなかったこと、その申告所得額も被告において原告の取引先である一宮ナショナル製品販売株式会社から得た資料より推測される所得額に比較して過少であると認められたこと、そこで被告は昭和四四年七月頃から同年一二月頃までにかけて係員をして原告の所得調査を行なわせ、右期間中に一宮税務署の職員が五回位原告宅を訪ねて調査しようとしたが、いずれも原告より張簿書類が整理されていない等の理由で調査が十分にできなかったものであること、特に係員が最終に原告宅を訪れた際には、一宮民主商工会員ら一〇名位が調査に立会い、調査理由の明示を求めるなどしたため結局調査ができなかったもので、被告は原告に調査をうける気持がなく、その協力を得られないものと判断し、やむを得ず推計により原告の所得額を算定して本件課税処分をなすに至ったものであることが認められ、原告本人尋問の結果中、右認定に反する部分は措信することができない。

右事実によれば、本件更正処分については、被告においてその前提となるべき調査をしなかったということができないことは明らかであり、またその調査手続も調査欄の濫用にわたってなされたものとは認められない。そして被告は、原告の所得額の実額調査につとめたが、実額計算に必要な帳簿書類が整備されていないうえ原告の協力が得られなかったためにやむを得ず推計課税をなしたものであることが明らかである。従って、本件課税処分の手続的違法をいう原告の主張はすべて理由がない。

三  そこで、次に本件更正額認定の当否について判断する。

原告が係争各年当時一宮市内においてナショナル家庭用電気器具製品の小売業を営んでいたことは当事者間に争いがなく、被告は、原告の取引先等を調査して係争各年分の仕入金額を把握し、右金額に類似同業者の平均売上原価対算出所得率を乗じて原告の算出所得金額を算定し、これから特別経費を控除して本件係争各年分の営業所得金額を推計するものである。

1  売上原価

原告の売上原価が被告主張どおり

昭和四二年分 一二、六八五、〇四六円

昭和四三年分 一一、六一六、一九四円

であることは当事者間に争いがない。

2  算出所得率(対売上原価)、算出所得金額

被告はその主張のような方法で類似同業者の平均算出所得率(対売上原価)を求め、これを原告の所得率とみなしているが、被告のなした同業者の選定方法等右所得率の算出方法は、同業者の類似性、同業者数および資料の客観性等の諸点よりみて、合理性を有すると認めることができるものである。そして、証人中山実好の証言により真正に成立したものと認められる乙一、二号証および同証人の証言によれば、その算出所得率および算出所得金額は、いずれも被告主張どおり

昭和四二年分 算出所得率 一一・四九%

算出所得金額 一、四五七、五一一円

昭和四三年分 算出所得率 一一・六八%

算出所得金額 一、三五六、七七一円

であることが認められる。

原告は、右平均算出所得率をもって即原告の所得率とみなすことの合理性を争い、その理由として係争各年当時は、原告が昭和三九年一二月に開業したばかりで事業基盤が固まっておらず、場所的条件にも恵まれないうえ、店舗も狭く、他店に比較してきわめて不利な状況におかれていたため、セールス販売に頼らざるを得ず、廉価販売による顧客開拓を必要としていたこと、また仕入先への支払もとどこおり、マージンを得るどころか逆利息を差引かれる状況であったと主張する。

そこで判断するに、原告本人尋問の結果によれば、原告が昭和三九年一二月に開業したこと、営業成積もかならずしも十分でなく、セールス販売にも相当よらざるをえなかったこと、仕入先に対する支払もとどこおりがちでありペナルテイを支払ったこともあること等が認められるけれども、前記乙二号証、成立に争いのない乙四号証および証人上野八代の証言によれば、原告の営業成績は本人がいう程悪いとも認められず、また原告の店舗は約四坪程度の普通の電気器具小売店であり、他店と特別に変つたこともみられないものであったことが認められること、開店後二、三年経てば営業も一応定着するとみてよいこと、その販売商品がナショナル製電気器具といういわゆるメーカー製品であるという商品の性質等を考慮すると、売上が同程度の他店と比較して原告の所得率が特に低いとみるべき事由があるとも認められず、他に特別の事情のみとめられない本件においては、類似同業者の平均算出所得率をもって原告の所得率とみなしたことは相当であるというべきである。従って、この点についての原告の主張は理由がない。

3  特別経費および専従者控除額

特別経費および専従者控除額については、いずれも被告主張どおり

昭和四二年、同四三年分 店舗賃借料 各六七、二〇〇円

同 建物減価償却費 各五、五八〇円

同 専従者控除額 各一五〇、〇〇〇円

であることは当事者間に争いがない。

以上によれば、原告の各係争年分の営業所得金額は、被告主張の別表(三)(営業所得金額明細表)のとおり

昭和四二年分 一、二三四、七三一円

昭和四三年分 一、一三三、九九一円

であることが認められる。そして、所得控除額が別表(一)および(二)の当該欄記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。

四  そうすると、前記当事者間に争いのない本件更正所得額(異議決定による一部取消後の額)は係争各年分とも前記認定所得額を下まわるものであるからその範囲内でなされた本件課税処分はいずれも適法であるということができる。

五  以上の次第で、原告の本訴請求はいずれも理由がないから失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山田義光 裁判官 窪田季夫 裁判官 小熊桂)

別表(一) 課税処分表

<省略>

(注) 営業所得とは事業所得を更に細分したものである。

別表(二) 異議決定等明細表

<省略>

別表(三) 営業所得金額明細表

<省略>

別表(四) 仕入金額明細表

<省略>

別表(5)の一 選定経過表(昭和42年分)

<省略>

<省略>

第1次選定 一宮税務署管内で家庭用電気器具製品の小売業を営む個人の青色申告書のうち昭和42年分所得税青色申告決算書の提出のある者を抽出する。

第2次選定 ナショナル製品が全取扱商品(仕入金額)の1/2以上を占めている者を抽出する。

第3次選定 現金主義により記帳している者を除いて抽出する。

第4次選定 年の中途に開業もしくは廃業していない者を抽出する。

第5次選定 他の営業と兼業していない者を抽出する。

第6次選定 売上原価2,000万円未満の者を抽出する。

別表(五)の二

選定経過表(昭和43年分)

<省略>

<省略>

第1次選定 一宮税務署管内で家庭用電気器具製品の小売業を営む個人の青色申告書のうち昭和43年分所得税青色申告決算書の提出のある者を抽出する。

第2次選定 ナショナル製品が全取扱商品(仕入金額)の1/2以上を占めている者を抽出する。

第3次選定 現金主義により記帳している者を除いて抽出する。

第4次選定 年の中途に開業もしくは廃業していない者を抽出する。

第5次選定 他の営業と兼業していない者を抽出する。

第6次選定 売上原価2,000万円未満の者を抽出する。

別表(六)の一

算出所得率計算表(昭和42年分)

<省略>

別表(六)の二

算出所得率計算表(昭和43年分)

<省略>

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